たまりば

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小さな花束

2017年04月03日

春。街のすみには咲きかけの桜。


ひさしぶりに、80になるおばに会いにゆく。


小さな花束をわたしたとき、笑みが零れて光った。



昼も、夕方も、夜も、時をこえて、たくさんの話をした。


生きている、ことは不思議だ。


会えてうれしかった!


そして、生きていてくれてありがとう、と思った。







おばに会いにでかけた。


最後にあったのは、学生のころだから、もう20年近く経つ。


ちいさな花束を、鶴川の駅前の花屋でかった。

電車にゆられながら、白い花、あわい黄色の花が光っているように見えた。


登戸と、立川でのりかえて、国立へ。


すっかり駅舎は変わっていたけれど。

ロータリーから、最寄りのバス停まであるいてゆく。


薄曇り、もしくは淡いブルーの青空。冷んやりして心地良い天気。

アパートや一軒家のならぶ住宅街。


おばは、前と同じアパートに暮らしていた。



ドアがひらく。


はにかんだ姿は、なんだか子どものようだった。


さぁさぁ上がんなさい、といって通してくれた。


小さな花束を手渡したら、あらおしゃれね~、と満面の笑み。

花瓶に活けられたとき、花の本来あるところに在る気がした。



旅のはなし、仕事のはなし、家族のはなし、今の世相。

うれしいことも、かなしいことも話した。


それぞれに発見もあり、こういう意見もあるのか、とも思った。


昔、お連れあいと会えなくなった過去。

ふかい悲しみの記憶とともに、ここまで溌剌としていることに、驚くしかなかった。


もしかしたら、それは言葉をとおして伝えようとしてくれた意思、なのかも知れない、と思った。


80と40。

半分しか生きてないのよ。まだまだこれからよ、と言ってくれた。



学生寮をいとなみながら、日本語教師をしながら、出会った学生たちの姿。


働きながら絵を描いている、娘さんのこと。

そして、おば本人の絵も見せてくれた。


前衛的な画風。かっこよかった。


これも食べなさい、あれも食べなさい、私のも食べなさい、といって相当食べたきがする。

まだまだ若いんだから、とかいって‥、さすがに多すぎたけど。

たべてほしい、という気持ちがすごく伝わってきた。


ながい時間をかけて、話ながら、ゆっくりいただくひととき。


ごちそうさまでした。おいしかった!


満腹感。ありがとう。




玄関をでたら、またいらっしゃい、と言ってくれた。


ふたたび、駅にむけてあるいてゆく。

街の隅には咲きかけの夜桜。


風はつめたいけど、蕾がほころんでいた。



  • Posted by えだまめ at 09:29│Comments(0)
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