雲のかたち
帰り道には、いつも自転車をこいで川ぞいを走ります。
晴れのつづく近ごろは、夕暮れがとてもきれい。
途中にある公園に、自転車をとめてベンチに腰かけて眺めたりします。
ちょっとぼおっとして、どこかほっとして、手にとまりそうな蚊を気にしながら。
ひろがる空。
雲のかたちはさまざま。
泡だてた雲。
刷毛でうすく塗られた雲。
およいでる鱗雲。
伸びてゆくひこうき雲。
すこしずつ日は暮れてゆき群青へ。
細い三日月がうかぶ空。
道ばたのひまわりの黄色い花。
振り返って自分の影を見ている、部活帰りの女の子。
橋のうえから釣りをしている、何人かの陽にやけた少年たち。
ひとつひとつの夏の情景が夕暮れに染まってゆく。
空のいろはかわってゆき、雲のかたちもやがてはかわるもの。
いまなにげなく見える景色が、大切なものに思えてきます。