仙丈ヶ岳ハイク

えだまめ

2014年09月21日 22:38

森のなかを歩いてゆく。


とてもいい匂いがする山道。


やわらかな苔が朽ちた倒木を包みこむように生えている。


肌寒く感じる曇り空、黄色に色づく葉に、明るい気持ちになる。




バスを甲府からのりついで北沢峠に着いたのは昼過ぎ。



初めての南アルプス。


なのに、なぜだか懐かしい気分。



歩いているうちに、あたたかくなってきて、脱いだ服をザックにしまう。


ときおり木の上に座りこんで、ひとやすみ。


ゆっくりと時が流れてゆく。




葉っぱの間からは甲斐駒ヶ岳の姿。


歩いてゆくと水の流れる沢の音。


幾筋のちいさな滝。飛沫がはねる。


手のひらですくって飲むと、冷たくておいしかった!




しばらく歩くと木々の間に、木づくりの馬の背ヒュッテ。



静かなたたずまい。


中には、小屋番が3人。お姉さんが記帳してくれた。


お兄さんは夕食の準備をしながら、口笛でビートルズの曲をふいていた。




ザックをおいて付近を散歩。


帰ってきて、すこしだけ読書。


17時の夕飯は、カレーライスと若芽と玉ねぎの小鉢。


同宿になったご夫婦と話しながら、楽しいひととき。


ふたりで定年後に歩いた道のり。


病気になったり平坦じゃないけど、たしかに歩く睦まじい姿。



小屋番のお姉さんの微笑み。


おだやかな、ランプみたいな明るさ。



カレーを2杯おかわり。テレビの天気予報をみてから、大部屋の布団へ。



たくさん着こんで、まだ寒いけど、就寝。



なぜだかうれしい、山小屋の静かな長い夜。



眠りにふかく入ってゆく。




・・・・・・・・




いつのまにか朝の5時。



朝食は、ご飯、焼き鮭、梅干、たくあん、味噌汁。




山小屋のひととき。


今日の行程など話しながら。


ちょっと名残惜しいけど、靴ひもをしめて出発。




森林限界を越えてゆき、見晴らしがよいところへ。


どこまでも透きとおり広がる水色の空。



仙丈小屋のベンチで景色を見ながらホットコーヒー。おいしかった。



さらにのぼってゆくと、スプーンで削られたような氷河地形。

カールとよばれる圏谷。



山肌を葉が赤く染めていた。



おおきな時のサイクル。



山頂からは、たくさんの山々が見えた。


あらためて位置を頭に描きなおしながら眺めた。



むこうから歩いてくる人と挨拶。


笑顔は咲く花のよう。


目のあたりの感じ、紺色の帽子。


うれしくなる心地。




山道をおりてゆく。



森の匂いがしてきて、やすらぐ気持ち。


大滝頭から、昨日歩いた道をすこし戻る。


より身近に、景色を感じながら。



分岐から、あらたに歩く沢沿いの道へ。



たくさんの花が咲くところ。


雪がすこし残っていた。



鹿が一頭、斜面を歩いていた。



苔に包まれた木々は、朽ちて土へ還ってゆく。


おおきな自然の営みのなか、一歩ずつ歩いてゆく。




やがて林道にでてきた。


そこからしばらく歩き、北沢峠まで戻った。


長衛荘のスープカレー、おいしかった。




バスをのりついでゆく帰り道。



車窓にはコスモス。蕎麦の花。


高遠から伊那まわりで帰宅。



いい山歩きになりました(^^)v。