百蔵山ハイク

えだまめ

2014年11月30日 20:36

ひさしぶりに雨のなかの山歩き。


木のなかで雨宿りしながら、おにぎりを頬ばる。


霧につつまれてゆく木々の雰囲気。


枝豆色のジャケットにあたる雨音。

耳のそばに聞こえてくる風の囁き。



たくさんのことばを声にしてみたら、水蒸気のしろい煙になった。


すこし心がかるくなった。



濡れた落葉の匂いを吸いこんで、また歩いてゆく。



紅葉の赤や黄色。落葉の茶色。

色とりどりのニュアンスに安らぎをおぼえて。



ありふれた日々が幾重にもかさなって歳月になる。


この雨はしみわたり、誰かののどを潤すのかも知れない。

草や花に出会う日も。


もしかしたら海へゆく日々も。


この川は、相模湾へと続いてゆく。



山から下りるころに、雨があがった。



ちいさな一軒家で、女の子らとその母が遊んでいた。

庭のきらきらと光る水たまり。


まぶしくて、あたたかな雨上がり。




すこし道草して、小径をゆく。


階段をくだってゆくと、ひなびた家が見えた。


湯立人(ゆたんど)鉱泉。


扉から顔をだしたおばあちゃん。


柔らかな笑顔。


ともに歩きながら、畳の広間をぬけて、お風呂に通してくれた。


水色と白の明るい風呂場。

天窓からさしこむ陽光。


ちゃぽんと湯舟に。

ちょうどよいお湯加減。


ゆっくりとつかりながら流れるとき。

手足をのばし、おおきなのびをする。



さわやかな風呂あがり。


広間には小さな木の机。


お茶と、お茶うけにふかした芋、ちいさな梅干し。


わたしもお相伴して、と言って、一緒にお茶をのむひととき。



山のはなし、土地のはなし。


陽射しにつつまれて、ほころんでゆく心。


まるで何か大切なシーンのなかにいるようなとき。


ありがとう。ごちそうさま。また来ます。


ありふれたことしか言えないけれど。


ひさしぶりに心から温まるとき。



曇り・雨ふり・雨あがり。


いろいろなときを歩いた日のこと。



充実した山歩きになりました。