ほがらかな木

えだまめ

2015年11月08日 23:18

斜面をおりていた。


一本の木に目がとまり、思わず立ちすくんだ。



とても高い木。


南面にむけて細い枝をひろげていた。


黄色い葉はほとんど落ちて、わずかに残るのみ。



静かなたたずまい。


何をみつめているのだろうか。



あたたかな色みの黄。


暮れてゆく日にかかる灰色の雲。


冷たい風。




一本の木に、心がいっぱいになった。



森をなす木々のこころ。


侘しさや寂しさ。


やがてくる冬への備え。




またいつかここに来たい。


そう思えただけで、充たされた山の1日だった。



ただ生きる。


枯れて、やがて土になる。


まわりつづける時のサイクル。




朗らかな月のよう。


微笑むように見つめていた、一本の木のたたずまい。