口
春眠、あかるい陽のさすベッド。
カーテンのすきまからにぎやかな声が聴こえる。
まぁだだよ。公園をかけまわる子どもたち。
口をあけてみる。応えるように。
思わず、あ、って声がする、ぼそっと自声。
誰にも聴こえない、だろうから。
だろうけど、おおきな発見のような気がして。
口をあけてみる。話すように。
わぁ、と驚いて、ふぅっ、とため息。
溜めこんだ息を、たくさんたくさん、言葉にしたくて。
閉ざしてた唇、意味もなくひろげたり、すぼめたり。
縮めてた舌、うぅんと伸ばしてみたり‥。
おかげでちょっと、やわらかな表情。
えへへへと、ありがとう。
かけまわる若葉の匂い、風のなか。