耳
池袋から東武東上線にのって1時間。
埼玉・東松山にある丸木美術館を訪ねました。
ちょうどひろい河岸段丘になっていて、緑豊かなところ。
鶴川からここに来るまでに時間はかかったけれど、来られてよかった。
玄関から入ると、2階には丸木位里さん俊さんの原爆の図が展示されています。
とても大きな屏風。
原爆投下後の広島の様子が、水墨画と油彩で描かれています。
こちらを見つめるひとの目線。赤ちゃんとお母さんの姿。
まるで自分自身が被爆したかのような体験でした。
人たちの群れのなかで、ひたすら彷徨う。
炎のなか、竹藪のなか。
忘れられないときになりました。
今日は、詩人アーサー・ビナードさんの、ちっちゃいこえ、という紙芝居の制作発表会もありました。
原爆の図から抽出された絵に、詩をかいた作品。
ビナードさんの朗読に目と耳を傾ける。
ひとを含めた色々な動物たちの姿。
紙芝居をめくったら、ピカの閃光がひかって変わる世界。
細胞の奥に入りこんで、壊してゆく放射能。
そのあとの座談会では、ビナードさんたちが、制作の様子を伝えてくれました。
たくさんの観客たち。
サイン会で、ビナードさんとお話することも出来て、うれしかった。
熱意にあふれ、聡明で、ユーモアのある詩人。
いつかまた、お会いできたら。
声が耳にのこる夜。月にはまるい暈。