せとうち渚紀行~12月の海
ペダルをこいで走ってゆく。
よく晴れた日、陽のひかりを追いかけてゆくように。
島の斜面には柑橘の畑。
海の砂浜におりて、貝殻をみる。
歩いたあとが、靴底のぎざぎざになって、なんだかうれしかった。
ずっとずっといくと、昨年の豪雨の通行止めで逆回り。
トンネルをぬけて、登り坂をこいでゆく。
自転車をとめて、ちょっとけもの道めいたところを、枯葉をふみわけてゆく。
人気のないちいさな灯台にたどり着いた。
そこからみえる海。船が行き来してゆく白い航跡。
畑のわきの、島の対岸がみえる穴場でラジオを聴いた。
聴きなじみのある声がきこえて、泣きそうになった。
おだやかな海を、ただただ見つめていた。
ほっとしてうれしいときだった。
12月の海の色。
みちてはひいてゆく波のサイクル。
さらに南へいって夕陽をながめて、実家に戻った。
メリークリスマス。
読んでくださる方にも、どなたにも、あたたかなときになりますように。
よいお年をお迎えください。
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